ターヤンさんとやっちゃんさんがすでに車に

乗って待っていた。

12人乗りのワンボックスカーに入り込んで、

ターヤンさんが助手席から降りて隣の荷物専用

の車の運転席に座った。

隣にはもっくんが座って待機していた。

他のメンツはみんなバイクで先に行って場所

取りをすると勢いよく行ってしまった。

「この車新車ですね。」

最近出たばかりのじゃないかしら?

「あ、分かる?」

やっちゃんさんは運転席で音楽を掛ける。

「ええ、CMはよく見る方です。」

「あははっ、日和ちゃんってテレビ見たり

するんだね。」

やっちゃんさんはあたしを何だと思ってるんですか!!

テレビぐらい見ます。

やっちゃんさんの隣に馨君が乗り込み、

後ろにちぃー君、京君、

次にユウヤ、慶詩、伊織君、

運転席の近くにサユ、あたし、ナル君という席順だ。

しばらくはドライブになるよっていうやっちゃんさん

は相変わらずサングラスがイカしている。

カーナビの音声が全く聞こえない。

その分、馨君がカーナビ役になってるよ。

やっちゃんさん、しっかり!

「日和ちゃんはしばらくの休み何してたの?」

やっちゃんさんは多分後ろのサユのクールさに

話しかけられない模様だ。

「えっと、そうですね。実はこの間兄の知り合い

の人から送られた研究を手伝っているんです。

夏休みだからアメリカに来ないかと誘われたの

ですが、そればっかりというわけにも行きません

からお断りしたのです。」

朔兄ちゃんに会いたかったけど、しょうがないわ。

サユやマコ君と遊ぶ約束をしていたし、藍ちゃん

とも約束があったし、修平君とも座禅体験という

あたしの我儘に付き合ってもらったんだもの。

「日和ちゃんって何者?」

やっちゃんさんはあたしをミラー越しでビックリ

した様子で見ていた。