寝坊をした。
サユとあたしにそろそろ行かなくていいのって
マミーが起こしにかかったのが8時半で2人して
飛び起きて準備にかかった。
あたしはすごく簡潔に済ませたがサユはかなり
焦っていて家を出たのが9時だった。
奇跡の30分を目の当たりにしたあたしは修平君
を巻き込みながら準備を済ませたサユに拍手を
送りたいと思った。
弟にヘアーアイロンをやらせるとはさすが、
永瀬家ですな。
海に入るから化粧はしないとかいうサユに
あたしもスッピンでいいやと思った。
普段は多少たりとも身だしなみよくしろって
言われて高校に入ってから母さんに化粧品を
大量に送りつけられたこともあってベースだけ
はきちんとしているつもりだ。
あまり、化粧をしなくても大丈夫じゃないのって
マミーには言われたが童顔がもっと童顔らしく
見えるスッピンなものでベースだけでもというわけだ。
大して変わらないとよく言われる。
まぁ、気休めでやってる以上何も言えない。
本当にばっちりしたメイクは七五三以来してない。
ギャルメイクの達人クルミちゃんのようなパンダ
みたいな目になったらと思うと濃いメイクはしたい
と思わなかった。
自転車で行くわけにもいかなくてパンを齧り
ながらビーサンでつんのめりそうになって
急いでいた。
サユと2人でとりあえず焦った。
電話を掛けて遅刻すると言うと馨君は
気にしないでいいよとは言ってくれたが、
待たせていることに変わりはないので2人で
この暑い中走った。
牛乳パックの水滴もビックリだ。
学校では部活があるのか生徒の声が
チラホラ聞こえて暑い中ご苦労様ですと
思いながらいつもの恐ろしい絵の描かれた
扉を潜ったのだった。