でも、あたしも幸せ者だな。

父さんはどこで何してるか分からないけど、

母さんだって今度はどこに行って仕事してる

んだろうか分からないし、兄ちゃんたちも

中々電話とか掛けてこないけど家族が何よりも

あたしの宝物だってことに嘘はない。

いつだって想っている。

みんなが幸せになれますようにと。

みんなが揃うその時までは誰にも言わないけど、

いつか揃ったらいいなとは思う。

「ふほほっ」

ダディの肩に乗せられるとすごく高く感じる。

父さんによく肩車してもらったな。

あはっ、何でだろう?

今日はよく思い出すな。

でも、想わない日はない。

みんなが元気に過ごしてればそれだけで十分だと

心から願っている。

「ひーちゃん、軽いぞ。」

ダディは力持ちなんだよ。

「ジョセフィーヌが焼き餅焼いちゃうね。」

ぐへへと笑いながらそんな夜を過ごした。

夏休みに入る前のテスト期間というものは

本当にみんな死にもの狂いだったみたいだ。

そして、やってきた期末テスト前夜もそれは

それは嵐のようだった。

よっちゃんの愚痴を聞かされる羽目になったり、

クルミちゃんにいい催眠術はないかと聞かれたり、

自力でやる気はないのかと説得した。

みんなそんなに夏休みが欲しいのだね。

先生たちもさぞや補修をさせたくないだろうに、

前夜でもあたしはただ教科書とノートをペラペラ

捲ってふむふむってするぐらいでとくに必死で

徹夜してやるぞって気にはならなかった。

修平君とサユとマコ君と早めの就寝をした。

テスト前にはいかに集中力があるかだと思う。

そのため、早く就寝した方が意外と出来る子

になってることがあるわけだ。

みんなで雑魚寝して目をしょぼしょぼさせながら、

マミーの作ってくれるご飯を食べてお弁当まで

作ってもらちゃっていざ出陣した。