それは約束の前日の夜の日だった。
その日は、午後からサユにショッピングに
誘われてマコ君を荷物持ちにサユのパワフル
ショッピングに付き合った。
ビーサンにジーンズのショートパンツという
ラフな格好にあんたは女の子なのってサユに
キレられた。
普段着を責められても困った顔しか出来ない。
服はそこまで興味がない。
着れればいいや的な思考がどうも駄目みたいだ。
「日和、素材がいいんだからもっと可愛い服
を着ればいいのに。」
そう言われても着る機会がないもの。
お洒落をして何になると言うの?
あまり気疲れするものを着ても楽しくないわ。
それにそういうのは決まった日に着せられたり
するものだから普段ぐらい自由をテーマに好きな
服を着たいというのが切実な思いである。
「あまり興味がないので。」
サユの大量買いには毎度ながら精神力と体力を
両方使うものでマコ君とクタクタになる。
何でも即決に決めてしまうから次々と移動
距離が半端ない。
これだってものが見つからない店には数分
もせずに立ち去るので足がとてつもなく疲れる。
やっぱり、ビーサンで来て正解だったわ。
「サユ、休憩にしよう。」
もう、駄目よ。
これ以上歩いたら足が棒になる。
アイスの棒もビックリだ。
「そうね、少し気分転換でもしようか。」
機嫌が良く助かった。
平気で3時間はもうずっとこの調子で、
あたしは体力面もあるが精神的な問題で
休憩が欲しいと願っていた。
心が折れる一歩手前ってヤツだ。
マコ君はそんなサユにちっとも文句言わず、
涼しい顔で付いてくるのでやっぱり欠陥の
ない彼氏を持てて幸せ者なサユだなとしみじみ
感じていた。