あたしとさっきまで手を繋いでくれてたのに
心変わりの早い女の子だわと思いながら、
キョロキョロ辺りを見回す。
久しぶりに会えると思ったのに居ないわね。
「そういえば、田中は?」
サユがマコ君からうちわを取り上げて、
マコ君を仰ぐ。
「寝坊かな?」
マコ君は苦笑いしながらケータイを鳴らす。
田中のヤツ、折角登場させてもらえるこの
機会に寝坊って情けない男ね。
作者も田中の存在にはビクビクしてたはずよ。
「全く、しょうがない男ね。」
サユは時計台の近くにあるベンチに座る。
マコ君はごめんねって言いながらケータイの
呼び出しをずっとかけてた。
たまに、どうしてあの坊主でイケメンな田中と
マコ君が親友なのかを疑いたくなる。
確かに、イケメンではある田中だがその中身は
とんでもないぐらいマコ君とかけ離れてる。
勉強はほぼ毎回赤点で中学の頃勉強をみて
やったことがある。
野球少年だったわりに結構風邪を引くことが
多かったような気がする。
面倒見のいいマコ君と田中は小学生の頃から
の仲だといつだったか聞いたことがある。
そして、サユを待たせることのないマコ君
と違って田中は結構人を待たせたりする。
時間にルーズな男とでも言っておこう。
サブキャラな癖に登場にこの時間のかけよう
は何よとそろそろ作者がキレ始めるんじゃないかしら?
「わ、悪いっ。」
手を合わせて走って来る短い金髪ヘアーな
田中にギョッと目を凝らす。
あんた、何その金髪は!!
丸坊主だからこそ田中って言えるあんたが
少し髪が長くてツンツンさせた金髪って
高校デビューしちゃったのか!?
それは期待外れだったよ。
あたし、坊主の田中に会いたかった。