窓から見下ろす景色はネオンに汚染された

街並みで胸焼け起こしそうだった。

「ケータイ鳴らしても出ねぇんだろ?

雑魚に手焼いてんじゃねぇか。」

千治のことだからどうせボケーっと

して電話に気付かないだけだろ?

「美男に連絡取ってみる。」

馨がケータイを片手に片っ端から

電話を掛ける。

それほど、心配するヤツじゃねぇだろ。

小学生じゃねぇんだからほっといてやれよ。

暴れられたら手が付けようにねぇだろうけど、

千治だって馬鹿じゃねぇはずだ。

グダグダ言ったところでどうにもならねぇじゃねの。

「それにしたって何で今日に限って千治だけ

単独行動になったんだよ。」

慶詩が煙草を灰皿に押し付ける。

「・・・千治が用事あるって言ってた。」

京が睫毛を瞬かせてから伏せる。

「俺と京にそう言ってきたからどうしても

外せない用事なんじゃないのかな?

聞いてもとくに何も言わないしね。」

千治は基本何を考えてるか裏でコソコソ

するタイプだからな。

こっちを気にせず動いたりするもんだから

俺だって気が気じゃない。

そういう役回りは俺で十分だっての。

「何かの嫌な予感がするんだよなー。」

ユウヤの言葉に沈黙になる場。

慌ててユウヤが夕方やってたゲーム

の話をし出してちょっとたった頃。

外がやけに騒がしくなったかと思うと、

酷い爆音を鳴らしてバイクが散って行く。

窓から見るに誰か来たのかと思った。

「どこの野郎だ?」

慶詩が警戒しながら俺に聞いてくる。

息を呑む他のヤツに俺は耳を澄ませた。

「分からねぇ。」

姿が見えねぇし、下に溜まってたやつら

が一瞬で散ったのを見る限り可笑しい。