周りがザワザワしている中で聞こえる声は、
聞きなれたもんだけど何故か高く聞こえる。
「やっちゃんって知ってるよね?」
「はい、サングラスの似合うお兄さんですよね。」
クスッと笑うひよこ姫。
「うん、そうだね。それでやっちゃんの話で
この辺に変質者がまた出たらしいんだ。」
「あれまぁ、そうなの。
全然そんなこと知らなかったよ。
サユに言っておかないと。」
自分の心配は考えずに他のヤツの心配を
してる場合かよと思った。
「日和ちゃんもあんまり遅くならないように
気を付けてね。何かあっても一人で先走るの
だけは勘弁してね。」
馨の言葉に何を思ったのか。
「ふふっ、何か兄ちゃんみたいなこと言うね。
そういえば、みんな年上だったよね。
あははっ、兄ちゃんが7人も増えたみたいだ。」
時に無神経なことをいうひよこ姫には困る。
「おめーの兄貴になんかなるかよドチビ。」
「ムカッ!!いいよなってくれなくても
兄ちゃんは2人も居れば十分だ。」
「そうかよ、そりゃ結構だったな。」
慶詩の言葉に一々反発する。
「あ、でも何かそれをわざわざ伝えるために
電話してくれたんだよね。どうもありがとうございます。
気を付けるようにします!」
そうしてくれよ。
「ヒヨリン、夜道には気を付けてな。
変な奴に声掛けられても付いて行っちゃ
駄目だかんな。」
ナルの心配をよそに、
「あははっ、大丈夫だよ。
あたし幼稚園児じゃないから付いてかないし、
声なんて掛けられる時点ですごい奇跡的だよ!」
そんな奇跡起こさなくていいからな。
「まぁ、気を付けるからね。
それじゃあ、戦場に舞い戻ります!」
そう言って切れた電話に誰もが不安を思ったに違いない。