冷や冷やしたのも一瞬のことだった。
「ヒヨリンじゃなかったんだよな?」
ナルが勢い余ってケータイにそう言うと、
「えっ、あたし?あるわけないよ。
っていうか、ナル君だ!!
何かとっても元気になる声頂戴しました。」
ひよこ姫は間抜けにそんなことを言いやがった。
「ヒヨリン、買い物に行ってるの?」
ナルが嬉しそうに電話口で聞く。
「あ、そうなの。
ナル君は知ってるでしょう?
あたしは安さを求めて戦場に参加するのです。」
主婦ばりにスーパー情報をチェックする
ひよこ姫をよく見た。
1人暮らしも楽じゃないらしいな。
「ヒヨリン、潰されないようになっ。」
あの小さい体にどんだけのパワーが
あるのか直接見たことがない。
前に男15人も気絶させたぐらいだ、
何かとんでもない武器でも持ってんじゃないか?
「心配ご無用です。
もう長年の忍耐である程度潰されても
復活出来る秘技を練りだしたの。」
どんな秘技だよって思いながら、
「そ、そうなの?」
「ナル君は今ご飯中かな?
そういえば、ユウヤが出てなかったっけ?
何が起きたの!?ユウヤ家出でもしちゃった?」
どうしたら、そう想像出来るのか分からねぇ。
「おめー、馬鹿じゃねぇの。
スピーカーつうハイテクなもんがついてんだ。
スマートフォンナメんなよ。」
慶詩の声にひよこ姫激怒。
「うっ、そんなもん知らなくたって生きていけるわ!
あたしは老後自給自足をして生きるつもりよ。」
またとんでもない発言してきた。
「日和ちゃん、それで本題にそろそろ入ろうか。」
馨が見かねて口を出した。
「は、はいっ。」
スピーカーなの分かってないのかこのひよこ姫。