そして、さっきから1人黙ったまま考え込んでる
千治にナルが茶化しに行くとどうやら考えたまま
寝ていたらしいウチのトップは寝ぼけ眼でナル
を落ち着かせようと頭を撫でてやってた。
「ちぃーさん、今日はどうすんだ?」
千治が欠伸をしながらこっちに顔を向ける。
「とくに考えてねぇ。」
千治がアイスに手を伸ばすともうドロドロに
溶けてて残念そうにそのアイスを見た。
これでもウチのトップをやってる千治が
抜けているのはここに居る誰もが知っている。
アイスが食べれなくなったのがそんなに
悔しかったのか不貞腐れてソファーに突っ伏した
千治にナルが宥めていた。
「どこも夏休み入った途端騒ぎ出すからな。
とりあえず、適当に人数散らばして見回り
しときゃいいだろ。」
慶詩がトップになってもいいぐらいだ。
「それでいい・・・寝る。」
完全にいじけモードとなった千治に
ナルが冷凍庫からアイスを持ってきて
それで千治を釣ろうとしていた。
「ナルは偉い。」
ナルの頭を撫でると千治はアイスの袋を
空けて水色のそれをシャクっと音を立てて
食べて機嫌が良くなった。
「あのチビに釘ささなくて良かったのかよ?」
慶詩はアイスを食べる千治に視線を移す。
「日和ちゃんは規則正しい生活してるからね、
普通に生活してる分ならこっちとは絶対に
関わり合いになることはないだろうし、
そこまで過保護にならずとも賢いから
気付かなくても避けてるはずだよ。」
ひよこ姫が妄想炸裂少女であっても、
実はその実態には学校1の偏差値を
持っていると誰かが噂してた。
「あんま気にしてやるなってわけか?」
慶詩の返答に頷く馨を横目に千治に
視線を移すとボーっとしながらその
やり取りを見ていた。