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said:伊織
しばらく、あのひよこ姫に会わなくなるであろう
夏休みの初日にそれは起きた。
「ヒヨリン、ヒヨリン~♪」
ウチのナルちゃんは機嫌よく歌ってる。
「ナル、そこにあるリモコン取って。」
馨がソファーに座ってパソコンを立ち上げて
いたところを見ると例の計画を練っているみたいだ。
冷房の空調を調節する馨の横でナルがキョロキョロ
しながら座った。
「そういや、京と慶詩が居ねぇな。」
ユウヤがつまらなそうにテレビのリモコンを変える。
「アイツらは出てる。」
ちぃーさんがソファーからムクッと起き上がると、
欠伸をしながらリビングを出た。
「馨、それでどうすんだ。
ヒヨリン、海入れなきゃ行っても意味なくねぇか?」
ユウヤがテレビそっちのけで馨の左側に座った。
ナルは因みに右に座ってる。
「そのことがあったね。
サユリちゃんから聞いたところ、
海には入ったことがないみたいだし、
海に行っても日和ちゃんがつまらなく
ならないようなことをとりあえず考えて見て。」
馨から宿題を出されたナルとユウヤは2人で
唸りながら考えていた。
「伊織も考えろよっ!」
ユウヤに引きずり込まれるかのようにその
宿題に参加することになった。
俺、今メールしてたところだった。
今日の夜に会う女にメールしてた
ところだったのに邪魔された。