何の話をしてるのかわからなくて、
あたしは明日香ちゃんの名前を呼んだ。
「ね、ねえ…えすって何?」
「へ?」
明日香ちゃんが瞳を丸くして、あたしを見る。
「あたし、えむなの?」
そうしたら、明日香ちゃんがガバッと抱きついてきた。
「あ、明日香ちゃん…? く、苦しい…」
「そうよね、めーだもんね」
明日香ちゃんが何やらつぶやいた。
「こんな天然でかわいい女の子が、笹山の毒牙にかかるなんて…許せないわ」
なんだか穏やかじゃない言い方に、
あたしは思わず、明日香ちゃんの服を引っ張って注意を促した。
「なんだかよくわからないけど…りゅーじくん、優しいよ?」