「何も気付きませんでしたけど?」

「そう!」

しばらく田辺は考え込んでいた。

「よし!帰ろうか?」

「いやだ!帰らない!もうちょっとだけ!お願い!」

「勘弁して!係長にどやされるよ!」

「あぁ…ここに停まってください。」

そこは小さな公園だった。

「じゃここで、ちょっとだけ休んだら帰るからね!」

「はい!」

早紀と田辺はそう言って車から降りると公園のベンチに並んで腰を下ろした。

「あぁ〜久しぶりだな〜公園のベンチでゆっくりするの」

「ねぇ、田辺さんはどうして刑事になったの?」

早紀は、いきなりありふれた質問をした。

「親父も刑事だったんだ。小さい時から親父を見て育ったからね?小さい時は自分にかまってくれない親父を恨んだこともあったけどね」

「そういうもんなんですね?」

早紀は田辺が自分より大分大人に見えた。

「田辺さん彼女いないの?」

「それは、ノーコメントだよ」

「やっぱりいるんだ!」

早紀は淋しい顔をして言った。

「私…田辺さんが…」

と言いかけた時…

「よし!帰るよ!」

そう言って田辺はベンチから立ちあがり車へ歩き出した。