新しいカレシが、手を繋いできた。
手のひらが汗で湿ってて気持ち悪い。
繋ぎ方も気に食わない。
私の思い通りならないから、勢いよく、思い切り繋いだ手を振りほどいた。
「何だよ!」
カレシはイラついた顔で、振りほどいた手を掴んだ。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。誰の許可を得て私に触ってるんだこの男。
平手、なんて可愛いもので済ませる気はない。
鳩尾に拳を一発。
完全に不意を突かれたようで、げえっ、とかなんとか言ってうずくまってる。
「ねえ。私の彼氏にしてあげたんだから、言うこと聞かなきゃだめ。躾のなってない駄犬は、どうなるかわかってるよね?」
しゃがみこんで耳元で囁いてあげたら、急に立ち上がって殴られた。
あーあ、顔殴られちゃった。
「何言ってんだよオマエ!アタマおかしいんじゃねえのか!」
怒鳴らないでよ暑苦しい。
「女子に人気の爽やか君は自分の思い通りにならなかったら暴力振るうのねー。怖い怖い」
馬鹿にしたような笑いも付け加えてやれば、思った通りに逆上。
ま、最初に殴ったのは私なんだけど。
全くどいつもこいつも扱いやすくて困っちゃうわ。