加奈はあたしを気遣って、昨日のことは触れずにいてくれた。
「えー昨日、滝沢が掃除をサボったって男子から苦情があったから、今日は放課後残って冬休みのしおり作りな。」
そっか…
誰かが龍…ううん、滝沢君のことを先生に言ったんや。
「上原、手伝ってやってくれ。」
「は?あたし?」
「ああ。頼んだぞ。」
「えっ!ちょっ!先生!」
あたしを無視して、先生は教室から出ていった。
「真希、大丈夫なん?」
加奈が、滝沢君に聞こえへんようにあたしに言ってきた。
「うん。しおり作りは、あたし一人でするから…。」
「本間?うちも手伝ってあげたいけど、ごめん!今日はバイトやねん。」
「いいよ!」
はぁ…冬休みか……
早いな…。
本間に、いろんな意味でこの1年は早かった。
時間って、あっという間に過ぎるんやな。