「真希…。」
周りの人は、みんな驚いた顔をしてた。
あたしは、学校では一回も泣いたことがないから。
いつもみんなの印象には、"強くて綺麗な人"って残るらしい。
でも実は、そんなに強くもないし、泣くことも少なくない。
チャイムが鳴って、また授業が始まる。
先生の声なんか、耳に入ってこおへん。
頭の中では、ずーっと龍のことしか考えてなかった。
放課後になって、あたしと加奈と龍は、掃除当番にあたってた。
「はぁ…、掃除とかめんどくさいな。」
「はいはい。愚痴らずに、やるやる!」
掃除をしてたら、美紀ちゃんが教室にきた。
「龍ー!帰ろ!」
「あっ、悪い。俺、掃除当番あたってんねん。」
「ええー!そんなんいいやん!他の人に任せて、帰ろ!」
「んー、そうやな!分かった。」
すると龍は、掃除をやめて帰っていった。
「何なん!?あいつ!」
愚痴る加奈を慰めて、あたし達も早く掃除を終わらせて、帰った。