達也が戻れって言ったのに、誰一人として戻ってくる奴はいない。

きっと、みんな最後まで戦うつもりなんや。

ありがとう、みんな…


そんな風に思ってたら、急に滝沢がとめた。

またびっくりした。

「どういうつもり?」

結果は分かってたのに、なぜか聞いてしまった。


「これ以上やったって、そっちが倒れていくばっかりやろ?やから、全滅する前に、やめてやっただけ。」


何でかは分からへんけど、滝沢の言葉に、プチッと何かが切れて、気づいたら、滝沢を殴っていた。

「お前、龍さんに何やってんだよ!!」

滝沢のグループの奴が、あたしに向かってくる。

殴られると思った瞬間、滝沢が止めた。

「俺、殴られたの初めてやわ。しかも、女に。」

「あたし、あんたみたいな奴が一番ムカつく。あんたさ、仲間のことだって、全然仲間と思ってないやろ。さっきだって、仲間が殴られてるとこ見て、笑ってたし…。」


すると、滝沢がフッと口端を上げて、またしゃべりだした。

「だってさ、所詮俺のかわりに喧嘩やってくれるだけだろ?」

「あんた、リーダーとしてっていうより、人間として終わってる。最低な奴やな。リーダーっていう座は、全員に信頼されてないとできひんねん。あんたみたいな奴、リーダーとして失格やわ。」

あたしは、呆れてもう戦う気も失せて、「帰ろ。」と、全員に声をかけた。


あたしは怪我をしてる奴を支えて、全員で基地へと歩き出す。

「真希さん。」

達也が不意に話しかけてくる。

「よかったんすか?」

「いいねん。あんなんを相手にしようとしたあたしが馬鹿やった。」


それから全員、全くしゃべらずに、基地へと帰った。