『…どうかした?』

いつもとは違う由紀に違和感を感じる。


「拓哉君って、彼女とか居るのかな…?」

由紀は何かを言いたげに下を向いているけど、この雰囲気ぐらい自意識過剰じゃなくても気づく。
会社内でだけはめんどくさくて気を遣う人は係長か課長ぐらいでいいと思う。

「あのさ、私…前からね…入社したぐらいからかな…」

この微妙な間が一番気まずい。



『はい、もしもし?』

携帯を耳に当てつつ、ごめんと口パクで由紀に謝ると気にしないでと手を振られた。


お疲れと手でを交わしてから職場を出る。


タイミングよく鳴らしてくれた人に感謝感謝。
にしても返答がない。
エレベーターだから電波悪いとか?


『もしもし?』

「…っんでよ…」


女?

泣いてる?