「おい!神崎!」


後ろを振り向くと同じ課の先輩がいた。


「どうかしました?」


「お前得意先の今野さんになんて説明した?コストが合わなくて課長がお前探してたぞ。」


「今、戻ります」







*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・




『うわー疲れたー!』


自分のミスのせいで定時をかなり過ぎてもう23時を回っていた。
ミスをするなんて事はかなり減ったが、会社で仕事してなんとなく特に意味のないような
毎日が俺の日常。
なんだかんだいっても平凡が一番だと思う。


「お疲れ様です。」


目の前を見るとにこりと会釈した由紀がいた。
同期で入ってきた子。


かわいくはない。
どちらかというと清楚でかわいらしい人。

こういうタイプに男って弱いんだと思う。


『あれ、まだ居たの?とっくに帰ったかと思ってた。』


「私もちょっと手こずっちゃって…」


『あっそうなんだ。お疲れ。じゃ、また明日。』


「待って!」



呼び止められて、振り返る。