「あれじゃ、
私も無理だわ。

残念だったね」



「うぅぅぅぅぅ」



佳代は
あたしの頭を

よしよしと頭を撫でてくれる。



「おい?どうした?

何で萌香ちゃん、泣いているんだよ!!」



あたしは
顔を少し上げると、

心配そうにこっちを見ている
理くんがいた。



「萌香は
自分の気持ちから卒業したの!

兄貴はさっさと帰りなよ!」



「何だよ!
気持ちの卒業って!!

気になるじゃん!!」



理くんの手にも
大きな花束があり、

学ランのボタンが
無くなっていた。


理くんは元気印が
トレードマークみたいな人。

人気があるのだ。


あたしは手で
顔を軽く覆いながら、

「……ごめん。何でもないよ」と
声を絞り出した。



「大丈夫?
何かあったんだろう?」



「……ううぅ」



理くんの優しい声と
佳代の手の温もりに、

また涙が込み上げる。