淳平くんの元には

手紙や花束、
手作りのお菓子を渡す女の子たちが集まり、

それと引き換えに、

「ボタンください!」という声が
飛び交った。



……ちょ、ちょっと、待って!


あたしだって、

淳平くんのボタンが欲しい!!



あたしも
淳平くんの周りに出来た人だかりに入ろうとする。



んんん~。

んんん~。

んんん~。




隙間も無ければ、

大きな胸が
邪魔して入り込む余裕もない。


肩や手で押され、

必要以上に
場所を取っているあたしの胸に

白い目が向けられた。


あたしは
その場から離れ、

呆然(ボウゼン)と立ち尽くした。


よく考えると、
あたしの手には何もない。

淳平くんのボタンと
引き換えになるものがないのだ。

何の
準備もしていなかった自分が

情けない……。