「あ!!萌香!!」



最初に
気づいたのは佳代だった。


飛び跳ねながら、
指をさす先には、

ガラス越しに
淳平くんの姿があった。


あと
二歩で玄関から出て来る。



「萌香!!

行っておいで!!」



両手で背中を押され、

「う、うん」と
ぎこちなく頷き、

淳平くんが出て来る玄関に足を進めた。



その時………。



「桐谷くんが来たよ!!!」



黄色い女の子の声が

その場を包んだ。


一斉に
女の子たちの視線は、

外へ踏み出す淳平くんに向けられた。



「桐谷さん!!!」


「淳平先輩!!!」



ドッと
押し寄せる声の威圧感に

唖然(アゼン)とするあたしは、

紛れもなく出遅れてしまった。