「そこである仮説を立ててみた。おおよそ、感情、記憶というものは、原子レベルの物質そのものにある程度刷り込まれているのでは? と」

「あの……、博士?」

全然関係のない話を博士はしている……、なのに何故か酷く嫌な予感を中村は感じた。

「臓器移植をして貰った人間のうち、臓器提供者の記憶を持つ者がたまにいる。他にも前世の記憶を明確に持つものがいる。それは原子レベルでの記憶を引き継いでいるからだ」

これ以上聞いてはいけない。

しかし中村参事官は、耳を塞ぐ事も出来ず聞き入ってしまった。