「……？」
「ほら…希。あの時みたいに、俺にそれくれよ。」
「……はい。」
そう言われて、私はしばらく考えた後、渡された箱をそのまま返した。
「はぁ……なんで？」
でもかーくんは、とても不満そうな目で私を見る。
「なんでって……ちょうだいって言うから……」
「…違うだろ。」
違うの……？
「あ！わかった！セリフが足りないんだね？『先生、お疲れですか？チョコでも食べます？』…これでいい？」
「……ったく。」
最高の閃きだと思ったのに、これも違うみたい。
「じゃあ……」
「もういい。貸して。」
他に何が足りないのかを考えていると、かーくんはもう諦めたとでも言いたげな表情で私の手からチョコの箱を奪い取った。
「…はい。口開けて？」
「……？」
訳がわからないまま言われた通りにすると、かーくんは私の口の中に一粒チョコを入れた。
……あれ？
私にくれちゃうの？
「…ん……っ！？」
そう思った瞬間、かーくんはフッと笑って私にキスをした。
