「…まぁいいよ。これは『不思議な人』発言の前の話だからな。俺だって、希と付き合う前までは忘れてたし。」



『不思議な人』発言。
2人の間で通じるもの。



あれがあってから、私はかーくんのことを意識し出したんだよね…



さっきの話はその前のことらしいから、本当に何とも思ってない時期のことだ。



「ごめんなさい…」



「いいって。でも、俺にとっての今日は、恋人の日って言うより、大切な思い出がある日なんだ……」



そう言って、かーくんはどこからか小さな箱を取り出して私に見せた。



それは……
誰もが知っているであろう、丸い形のカラフルなチョコが入っている箱。



「それ…」



そう言えば私…
高校の時、やたらそのチョコを持ち歩いてた。



「…あの時希が俺にくれたのは、このチョコだった。あれ以来、俺これ好きになったんだ。」



そう…なんだ。



「それに…あれが本当の最初。希が俺に初めて話しかけてきたのが、3年前の今日。……驚いた?」



うん……すごく。