「わかんない……なんも。でも、昨日はアイツいつもと違ってたんだ」


「違う?」


「やけに饒舌っていうか、これから頑張るぞー、みたいな顔してたっていうか」



 ――いや、もしかして。


 あの顔は頑張るぞ、というよりも吹っ切れたような表情だったのかもしれない。


 俺は目先の事しか見てなかった。


 狼が心を開いてくれた――なんて事に浮かれて何も見てなかったんだ。


「そうか……何か分かったり思い出したらでいいから俺に教えてくれ」


「うん」