あの日とは、7年前にさかのぼる。




信じられないかもしれないけど
私は昔ヤンキーだった。

元ヤンってやつになるのかな。

でもある時真也に出会った。


あの日のことは今でも覚えてる。


少しひんやりした夜だった。

いつも通り仲間と祝杯をあげ、
夜中2時にやっと帰路についた。

あと 数百メートルで自宅、
というところに小さくうずくまっている男がいた。


いつもなら通りすぎたと思う。

でもなぜか見捨てることが
できなかった。

今思えばあの頃から彼に惹かれていたんだと思う。


「あの、ちょっと…大丈夫?」


彼は少しこちらを向くと
再びうつむいてしまった。


「今夜は冷えるから、
薄着で外にいたら風邪引きますよ…?」


やはり反応はない。

諦めようとしたあたしは
彼に自分のスカジャンをかけると
そこから立ち去ろうとした。



「待って。」


少し擦れた声がしたから
振り返ってみると


「行かない、で。」

その声があまりにも切なくて
気が付くと私の身体は彼へと
向かっていた。

彼に目線を合わせると
自分でも信じられない台詞が
口を飛び出した。


「…わかった。うちに来なよ。
何もないけどさ…。」


こうして奇妙な同棲が始まった。