「でわ、出席を取りましょう」


柔らかい口調でいつも笑顔の原ちゃんは、みんな大好きな先生だった。


「石井 貴志くん」

「はい」


6年のクラス発表で、担任が原ちゃんだって分かったときの大騒ぎは今でも忘れられない。


「笹原 珠希さん」

「……あ、はい」

「タマさん、また考え事ですか?変わりませんねぇ」


ふふふって優しく笑う原ちゃんに私は小さく「すみません」と謝った。

教室中に笑い声がこだまする。本当、何歳になっても変わらない。



あの頃は、彼のことばかり考えてよく上の空だったりしてみんなを困らせていた。

原ちゃんは、いつも私を気遣ってくれていたっけ。