「ぅおっ、タマー!?」
教室に入ると、もう結構な人数が集まっていて。
小さな机に座ったり、観察台やロッカーを懐かしそうに見ていたり。思い思いに過ぎた年を噛みしめていた。
そんな中、部屋に響いた私の名前にみんなの視線が集まる。
「やべぇ、何年ぶり?」
「元気にしてた?」
「タマっ、写真撮ろぉぜ」
あっと言う間に囲まれた私の隣で亜衣は「恥ずかしい奴等め」と毒を吐いた。
ここは、最近じゃ珍しく閉鎖的な街だった。
高校を卒業しても地元を出ていく人はごく僅か。みんな地元が大好きで、この街に住んでいる人はもはや家族みたいな勢いで仲がいい。
そんなこの街を、私は2年前に出た。今日は2年ぶりに、この同窓会のために帰ってきたのだ。