「けど、タマはもういなくて、」


自由になってまで私に会いに来てくれていたことは、かなり意外だった。

でも、高校を出てすぐ街を出た私に彼が会えるわけがない。


「……佐々木に、会ったんだ」

「え、聞いてない」


“佐々木”とは亜衣の名字。

全く考えてもいなかった言葉に、思わず反応してしまった。


「すげぇ怒られた、」


弱々しい笑みを見せた彼が気の毒で、私も同じような笑みを作った。

亜衣に会うなんて、運が無さすぎるというか、何というか。とにかく、可哀想だ。