「けど、タマはもういなくて、」
自由になってまで私に会いに来てくれていたことは、かなり意外だった。
でも、高校を出てすぐ街を出た私に彼が会えるわけがない。
「……佐々木に、会ったんだ」
「え、聞いてない」
“佐々木”とは亜衣の名字。
全く考えてもいなかった言葉に、思わず反応してしまった。
「すげぇ怒られた、」
弱々しい笑みを見せた彼が気の毒で、私も同じような笑みを作った。
亜衣に会うなんて、運が無さすぎるというか、何というか。とにかく、可哀想だ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…