「毎年、俺がここに来てたこと、知ってたんだよな?」
「……うん、」
「高校までさ、施設にいたから、自由な行動が出来なくて。年に一回だけ無理言って連れてきてもらってたんだ」
「……うん、」
「そこの決まりで、俺を知ってる奴には会いに行っちゃいけなくて。毎年、ここに来たらタマに会えるんじゃないかって思ってた」
マフラーに顔を埋めた。
表情を読まれるのが嫌だったから。
「けど、結局一回も会えなかった」
……当たり前だ。
毎年、私はわざと成くんを避けるようにしてここに来てた。
成くんに会いたくなかった。