小学4年の秋。

夜に小学校に無断で入っていた成くんが先生に見つかった。その日も、家に入れてもらえなくて、小学校に泊まろうとしていたらしかった。


『違うよっ!父さんが悪い訳じゃない!僕が家の鍵を持ってくるのを忘れたからっ、だから、入れなかっただけで……』


泣きながら、先生にしがみついて叫んでいた成くんを、私は今でも鮮明に思い出せる。


『……父さんが、悪いんじゃない……』


言い張っていた彼の言葉は、大人からしてみれば痛々しい嘘だったのかもしれない。

結局、成くんの家の近所の人の証言で、彼が虐待を受けていたことが明らかになった。