何もないそこを見ても、不思議と目の前に夏の景色が広がった。





空の青とひまわりの黄色がくっきりと分かれていて。数え切れない花達は、みんな一心に太陽を見上げていた。


『すっごいだろー!見つけたとき、絶対タマも連れてきてやろうって思ったんだ』


にぱっと笑って畑の中に走っていった成くん。

本当に嬉しくて、感動して、気がついたら泣いてて、振り返った彼がおどおどしながら戻ってきて。





記憶の底に沈んでいた景色が、一気に思い出になっていった。

今まで思い出すのも嫌だった彼との日々が、心の掛けていた部分にピッタリはまって、久しぶりの感覚がこみ上げてくる。