「あらぁ、あんた達やっと会えたのねぇ」


お家から出てきたおばさんは、私達を見た瞬間に嬉しそうに微笑ってくれた。


「2人で来るのは何年ぶり?こんなちっちゃい時に、手ぇ繋いで来て以来よね」

「ちょうど10年だよ」

「まぁまぁ。どうりであたしも年取ること」


成くんの返事に三日月みたいだった目を少しだけ開いて、おばちゃんは困ったようにまた微笑う。

目元に出来た皺が、優しい表情を一層引き立てていた。


「裏、見てもいい?」

「いいけど、今時期はなんにもなくて面白くないでしょう」

「それでもいいの」

「そう?じゃあ、また帰るときに声かけてね。知らない内にいなくなってたら寂しいから」

「うん、ありがとう」


お土産を渡して、成くんと一緒にお家の裏側に回った。

夏には一面に黄色い絨毯が広がる、私達だけの秘密の場所。何百、何千本ものひまわりが咲く広大な畑。

私の大好きな場所。