「どこ行くの」

「へっ?あ、えと、あっち」


唐突な質問にテンパった私は、思わず進行方向を指さしていた。


それを盛大に笑ったのは言うまでもなく成くん。

お腹を抱えて壊れたように笑う成くんに抗議の視線を送ると一瞬笑いを堪えたけど、すぐにまた吹き出した。





「あっちはこっち」


やっとの思いで笑いを飲み込んだ成くんは、目に溜まった涙を拭って私の後ろを指さした。


「……あれ?」

「方向音痴なのは聞いてたけど、ここまでだとは思わなかった」


…………あれ?


彼の言葉が引っかかった。
どこかに覚えた違和感を、私は結局分からないまま成くんについていった。