「タマ」





聞こえた声は、幻聴だと思い込んだ。だってそれが、あまりにも懐かしい声に聞こえたから。


「タマ」


2回目の声は、すぐ後ろまで近づいていて。

肩を叩かれてぎこちなく振り返ると、同い年くらいの男の子が立っていた。


「久しぶり、」


笑った顔が彼にそっくりで。懐かしく聞こえた声は、その時よりもはるかに大人っぽくなっていた。


「……な、りくん?」

「はいよ」

「ほんとのほんとに成くん?」

「ほんとのほんとに」


にぱっと笑う。
やっぱり、この笑顔は成くんだ。