何かにハッと目を見開いた和弥。


同時に、伸ばした手で私を引き離すと、片手で顔を覆った。








「………」


「…ワリ、帰るわ。…じゃーな」




私と目も合わせずに、くるりと背を向けた和弥は、ヒラヒラと手を振りながら元来た道を戻って行った。




………。


…………。




「…え?」




あと数メートルで自分の家。


ぽつんと立つ私から、やっと声が出た。






今、何しようとした?




「…キス」




しようとした…?




なんで?


なんで?




「………」




なんで?という疑問ばかりが頭の中を占領して、私はへたりと真冬の道端に座り込んでしまった。