お店に入った時、落胆と少しの安堵があった。

来ないのなら、それでもいい。

けれど時間の流れは、実際よりもゆっくりと流れているようで、段々と、焦りと不安をつのらせていく。

つららさんがアイツを好きで、もう付き合っているんだとしたら、俺はもう、いらない存在なのかもしれない。

つららさんにとって俺は、なんなんだろうな・・・。


幾度となく通り過ぎるウェイターをぼんやりと眺めながら、ただ、思うことは、つららさんのことだけだ。



どのくらい時間が過ぎたんだろうか。


今、目の前に、つららさんがいる。


なにか、とても綺麗なものをフィルター越しに見ているようで、現実感がない。
つららさんに迷惑をかけられない。
機械的に席を立って、会計を済ませた。


本格的に、俺、やばいかも・・・。



「宗助のばか、宗助のあほ、料理、全然美味しく感じられない・・・、全然楽しくないよ。」


つららさん?


「もう、いい。宗助なんか知らない・・・、私、お会計してくる」


待てよ。
どこに行くんだよ!

つららさんの怒鳴り声に、ようやく、くすんでいた視界がクリアになっていく。

このままなんて、俺は嫌だ。