「山下さん、これから一緒に食事にでも行きませんか?仕事の事で、相談に乗って欲しいんです」


同じフロアで働いていると、よくこんな光景を目にした。


「今日ですか?ちょうど空いてましたし、いいですよ」


つららさんは、何の警戒心もなく男の誘いに乗っている。


「よかった。じゃあ、車をまわしてきますね」


男は、下心いっぱいの笑顔でつららさんに笑いかける。


おいおい、アイツ、俺ん所のスタッフと付き合ってる奴じゃないか。

しかも、社内で何人目だ。
ばかつらら、何人も女を食って泣かしているっつう話しを聞かないのか。


「おい、宮田。仕事の相談なら、俺が乗ってやる」


つい、話しに割り込んでしまった。


「宗助、いたの。」


いたの、じゃない。


「ちょうどよかった。宮田くん、仕事で悩んでいるみたいで」


俺は男の方に近づくと、ソッと耳打ちをした。


「うちの堀田由美は怖いぞ。もちろん、俺もな」


つららさんには聞こえないようにささやく。


男の顔付きがサッと変わった。

やっぱり、下心あったんじゃねぇか。