いつから俺は、恋をしたんだろうか。


初めてつららさんと出会ったのは、入社説明会の時だった。


確か、新人は全部署で10人くらいだったか。

まだ出来たばかりに近いこの会社に、とりあえず入った俺は、説明会なんて正直面倒臭くてさぼりたかった。


「はじめまして、山下つららって言います。う〜、やっぱ緊張しますね」


急に話しかけられて横を向くと、やけに綺麗な女が緊張した顔で座っていた。


「今からそんなんで大丈夫か?もっと肩の力抜きゃぁいいだろ」


真面目そうな女。
俺は、どっちかって言うと可愛い系の子のほうが好みなんだけど、まぁ、同期だしな。


「あ、ありがとうございます。なんか、心強いですね」


つららと名乗った女は、俺に礼を言ったあとにやんわりと微笑んだ。


おいおい。
この女、自分がわかってないのか。
そんな顔で笑いかけるなんて、男なら勘違いしちまうっつうの。

あぁそうか、それが狙いなのかもな。
どうせ、いい男を捕まえて、さっさと寿退社するんだろうな。


「俺は、宗助。よろしくな、つららさん」