「私が誘ったんだから、お金くらい払うよ」


今はレストランの駐車場にいる。


「そんなことはいいから。…つららさん、俺の車に乗ってくれないかな。きちんと話がしたいんだ」


私は、凄く迷っている。


明日も仕事だから、車を置いて帰るのは正直困る。
時間も遅いし、送ってもらうなんて図々しい考えもない。

夜も遅くなれば、途中でタクシーを拾えるかが不安だ。


「無理にとは言わない、顔を合わせたくないなら、もう会わない」




…ちょっと待ってよ。


勝手に話を進めないで。


このまま私が帰ったら、もう、こうして会うことはないってこと?


宗助ってけっこう頑固なところがある。
会わないって決めたら、きっと、本当に会おうとはしないんだろう。


…沸々と、別の怒りが湧いてきた。


私たちの数年間の付き合いは、そんなものなの?
理由もわからないまま、こんな事でなくなってしまうもの?


「ばか宗助、なんでそんなこと言うのよ」


この際、後の事なんてどうでもいい。
最悪、ネットカフェに泊まってやる。


「理由くらい、聞かせてもらうんだから」


私は勢いよく、宗助の車に乗り込んだ。