「けっこう遅くなっちゃったな」


待ち合わせの時間は8時。


今はもう30分は過ぎている。


「誘ったのは私なのに、待たせてるなんて」


でも、来ていなかったらどうしよう。


結局、携帯電話に宗助のメールはなかった。


様子がおかしかった。
たった数ヵ月会わないだけで、どうして、こんなことになっているんだろう。


そばにいる、宗助のその言葉、けっこう嬉しかったのにな。





「すいません、山下で予約しているんですが」


店員さんに声をかける。
きっちりとした制服を着た店員さんは、礼儀正しく対応してくれた。


「山下様ですね。先に、お連れ様がいらっしゃってます」


来てくれたんだ。


テーブルまで案内してもらうと、そこには宗助の姿があった。