「あ、ありがと」


…久しぶりに会った。


「久しぶり、つららさん」


部署が変わる前に会った以来だ。
メールだってしていなかった。


「久しぶり、じゃないわよ!連絡をくれたっていいじゃない。みんなでご飯食べに行くときも、返事くらい欲しかったんだから」


ごめんって謝ると思っていた。
そして、こざかしい言い訳を並べて、私が笑いながら怒る。
だって、いつもそうだったもの。


「正直、距離を置こうと思っていたんだ」


予想外の答えにびっくりしたんですが。


「なんで?私、宗助になんかした?」


宗助は、私を支えていた手をゆっくりと離した。


宗助の手が、少し、震えている。


「つららさんは…」


「山下さん、片側のピアスを忘れていますよ。まったく、気をつけてくださいね」


後ろから、あの人がやってきた。


「いつの間に落ちたのっ!すいません、ありがとうございます」


私は、慌てて駆け寄ると、あの人からピアスを受け取った。


「ちょっと、シャツだけじゃ寒くないんですか、風邪を引いても知りませんから」


あっ、そうだった、宗助が何か言いかけて…。



あれっ?
いなくなってる…。