そんな、数々の女関係を見せられた記憶が通り過ぎ、さっきのセクハラまがいなことを思い出す。


あの人は、仕事ができる人だけど、タラシで決定。


女関係リストも作ってみようかな。
うん、凄いものができそうで嫌だ。




ふと、心の奥で思う。


―――彼の言葉は、きっと、本気じゃないんだ。


無駄に外見が整っているから騙される。
どことなく、あの人は、本気で恋をしていないんじゃないかと思ってしまう。




はっ!
人のことはどうでもいいんだ。


私には、好きな人さえいないんだった!



彼氏と別れてから、4ヵ月くらい経った。


ジクジクと傷が広がる頃だと思っていたけど、大泣きしたせいなのか、意外と平気だったのに驚く。


まだ心は痛むけど、壊れることはない。






痛いっ。


考え事をして歩いていたから、何かにぶつかってしまった。


「なにやってんだ、つららさん」


廊下に置いてある段ボールにぶつかって、転びそうになった。


でも、転んではいない。



私は、しっかりと腕を掴まれていた。