「行かないでください」


そう言いながら、片手で抱きすくめられる。


「もう少し、一緒にいましょうか」


薄い生地越しに、彼の体温が伝わってきた。


夕方、仕事の合間にジムに通っていることは知ってる。


意外と筋肉質?
チラリと見える鎖骨がエロっぽい。


…いや、今はそんなことはどうでもよくて…。


「いたくありません。3秒以内に解放して下さい。でないと、訴えます」


機械的に、声を出した。


「それは勘弁してもらいたいな、ご褒美をあげようかと思ったのですが」


そうささやいて、私の耳にキスをおとす。


一瞬、私の身体が、ゾクリと震えた。


「ご褒美は、お給料に入れて下さい」


声が、少しうわずったかもしれない。


けれど、たっぷり3秒の後、彼は私を解放した。


警戒するの、忘れてた!


「今日は、こちらには戻りませんからっ!!」


バンッ


わざと大きな音をたてて、扉を閉めてやった。