「お、教えて頂いて、ありがとうございます。でも、あの、セクハラは、止めてくれませんか」
とりあえず、心臓に悪いです。
彼の目は真っ黒に見えて、実際には少し青みがかっていることがわかった。
こんなの、本気で口説かれたらヤバいです、落ちますって。
―――性格を知らなければだけど。
「セクハラですか、酷いことを言いますね。これは、コミュニケーションですよ」
やめる気はなし、ですか。
不用意に近づかないでおこう。
触らぬなんとかには祟りなしだ。
「今、警戒しましたか?」
ええ、警戒警報真っ只中です。
コクコクと頷いた。
「このくらいは受け流せると思っていましたが」
受け流せるかっ!
はっ!感情が顔に出てしまった。
「少し、休憩でもしましょうか。USBを持ってきますから、待っていて下さい」
そう言って、彼は席を立つ。
そんなことで私は、更に忙しくなっていった。