「お前はある意味凄いな。…まあな、悪魔っていうのは、なんとなく分かる」


「でしょう?もう、誰でもいいからそばにいてってかんじ!一見優しそうな所が恐怖倍増なのよ」


夜、近くの居酒屋で今朝のことを話す。


「悪魔以外何者でもないわ。あの人は、きっと、目で人を殺すんだ」


宗助は声をあげて笑った。


「さすがのつららさんも、殺されたわけだ」


「笑いごとじゃないの!私なんて瞬殺。あの人に傷ひとつ付けられなかったわ」


焼き鳥の串を、カツンとお皿に突き出てる。


店内は今日も賑やかだ。


「で、決めたんだな」


その串を、コツコツと打ち付けながら、私は頷いた。


「うん、正直、チャンスだと思った」



「そんな人の下で働くことなんて、滅多に無いことだから…」



ほろりと本音が溢れ落ちる。


「可愛いな」


へ?


「いや、あの人は馬鹿じゃない。俺は、つららさんが羨ましいよ。あの人は何も出来ないやつを側には置かない、あの人の目にとまったってことなんだろ?」


笑っている宗助に、頭をぐりぐりと撫でられる。


今の、聞き違いじゃなければ、可愛いって言われたような気がしたんだけど…。