今は夜の8時。
そろそろ本題を切り出しても平気だろうか。


「ねぇ二人とも、あの件は今どうなっているの?」


一番気になっていた事。
言いにくいんだろうなと思いながら話しを振った。


「あ〜そのことなんだが、多分、大丈夫だ」


宗助が曖昧に答える。


一体どうゆうこと?


「ええ、松本さんは少し嬉しそうにしていましたから。あの人が全責任を取るそうです」


佐々木君は苦笑いを浮かべていた。
一瞬、あの時に見た顔が頭にちらついてゾクリとした。


「あー、うん、何となくわかった。あの人のことだから、何かえげつないことをさらりと企んでる様な気がする」


私でも酷い言い方だとは思った。でもきっと、二人だって同じ意見だと思う。


「あの会社に強制捜査が入ることになった。そのことは、まあしょうがないことなんだが、それにしてもやることが速い。なかば狙っていた感もあるしな」


強制捜査、ですか…。
営業妨害、違法な斡旋行為。頭の中をそんな名前がぐるぐると回り、会社がひとつ無くなる姿が目に浮かぶ。
警察に提出する証拠を集めさせられているスタッフを想像すると、少し泣けてきた。

だけどね、寂しい気もしたんだ。