「ふふっ、貴方も相当歪んでいるのね。男も女も踏み台にして、何を手にいれたいのかしら」


そういうこのモデルの女も、俺と対して変わらない。権力を持つ男を何人も抱え込んでいる。
こういう関係は後腐れがなくていい。




辺りを見回してみると、この執務室の雰囲気も随分と変わってしまった。


俺が秘書に押した山下つららの私物が、そこらかしこに存在している。



一番面倒なものは、鈴木のような勘違いをする女。
今まで、こんな関係を持つことを少なからず楽しんでいた俺に、つまらないと感じさせた女が山下つららだった。
これまで上手く立ち回っていたはずなのに、そんなものはどうでもいいと思わせる女。


こんな事件になったのも、正直面倒になり、冷たくあしらってしまった結果ではないだろうか。



ヒヨコですか…。


彼女のパソコンの横には、ヒヨコのぬいぐるみが置いてある。

比較的シンプルな趣味で、スーツもスタイリッシュな物を好むのに、そこだけは譲れないらしい。


ソファーの横には、きちんと折り畳まれたタオルケットがある。


律義な所も、普段の彼女の仕事ぶりと重なって、少し笑いが込み上げてきた。