マルキエグゼクティブ。
何社もある派遣会社の一つで、ライバル会社の一つでもある。


「酷い嫌がらせだわ、あと5日で短期派遣プランが始まるってのに!」


なんてことだろう、ここで今まで築いてきた信用を無くすことはしたくない。


でも、時間が足りないんだ。



その時、今まで沈黙を守っていた男が席を立つ。


そして、近くにいた私の頭がクシャリと撫でられた。


「早見、これは立派な犯罪ですね」


宗助は、何故かむっとして答える。


「もちろんですよ、バレてしまいましたからね」


あろうことか、私の嫌いな笑みが浮かんでいる。


松本は何を考えているんだろう。


心の中で思わず呼び捨てにしながら、初めて彼の横顔を近くで見る。




綺麗な横顔だった。



「すいません、私の調査不足でした。今からでも…」


彼は、私を見ることはなく柔らかに言った。


「今の貴方は必要ありません。言ったでしょう?常に最善の策を用意して下さいって」