「山下さんは、本当によくやってくれます。興味ついでにかまってみるのですが、その反応も面白い」


これが、つららさんがセクハラって言っていたやつか。


「・・・早見チーフ、山下さんに快楽を教えてもいいですか?」



なっ、なんて言ったんだ、今。


「冗談ですよ、本気にしないで下さい。早見チーフも興味深い人ですね」


本当に冗談なのか?
俺は、からかわれているだけなのか?
そもそも、この男は冗談なんか言うようなヤツなのか?


・・・目が笑ってねぇんだよな。


この男ならやりかねないと思う自分が怖い。



「俺もそろそろ本気を出してみようかと思うのですが、いいでしょうか」


なんの本気なんだよ。
なんで、俺の方が宣戦布告をされているみたいになってんだ?


「何を言われようと、俺は、引く気はありませんから」



「頑張って下さい。それでは失礼しますね」



悪魔は俺に軽く会釈をすると、会社の方に戻っていく。



俺たちはどのくらい話しをしていたんだろうか。



手の中にある缶コーヒーは、すっかり冷えきっていた・・・。